極めて平凡な一田夫

ビールとアンペルマンと一緒に旅行するのが好き

太宰治 創作の舞台裏 行ってきました

今月から日本近代文学館(目黒区)で開催されている

「生誕110年 太宰治 創作の舞台裏」(同時開催「川端康成の青春」)に行ってきました。

今年は「生誕110年」と銘打っていろんなところでいろんな催しが行われているみたいですが、去年は「没後70年」のようで…

なんか「生誕」といっておきながらこの間亡くなったばかりでは、と思ってしまう…

それだけ人気ということなんでしょうが…

 

f:id:prost44312503:20190420171726j:plain

1F受付で観覧料300円を払い、チケット?を受け取り2Fへ。

2Fの受付でさっきもらったチケットを渡すと封筒をもらえます。

中には文学館が作っている絵葉書がランダムで一枚入っています。

あとで売店で値段を確認したのですが、

1枚90円なので、実質観覧料は210円ですね

ちなみに今回私は芥川龍之介侏儒の言葉』をいただきました。

 

展示室はもちろん写真NGなので以下、素人の感想を少し…

 

・「新文芸日記」

1926年元旦から1か月ほど続けた太宰生涯唯一の日記。元旦の記事には

その前にも日記をつけようとしても「記入するものがなくてヘイコウした」らしい。

『女生徒』『斜陽』などから日記のイメージはあったものの、本人の日記はこれのみなのだと。

もしかしたら三日坊主だったのかも…

 

・「悖徳(はいとく)の歌留多」草稿

後に『懶惰の歌留多』へと発展。この草稿は特に筆圧の変化が激しく、見てて不安になった…。右払いが妙に強調されていたり、眺めていてなんだか彼の字らしくないと思った。原稿用紙の使い方も、升目を無視している箇所が多く見られる。他の原稿は欄外にたくさん書くことはあっても、ほぼほぼ升目通りに文字を書いているのに。

また、これの前に中学時代の習字も展示してあったのだが、とてもうまい。

 

・『井伏鱒二選集』

師である井伏鱒二と収録作品について折衝する。太宰は何巻になってもなるべく作品を収録したいのに対し、井伏は駄作はいれたくない。草案と完成稿を比べても変更がある。確執というよりかは、考え方というか、選集の目指すところの違いが浮き彫りになっているような印象を受けました。

 

・文部省音楽取調掛編『小学唱歌集』第三編

明治時代の楽譜…五線譜の下に書いてある歌詞、上段には片仮名、下段には平仮名が使われていた。

 

・「お伽草子」原稿

今回の展示の目玉。387枚に及ぶ。400字詰の原稿用紙を半分に裁断し、200字詰のペラとして使う。(今は400字のものが主流だが、当時は200字詰の原稿用紙も作られていたよう。今回の展示で『人間失格』の草稿もあったが、これは筑摩書房の200字詰の原稿用紙を使用していた)

最初に彼が何枚の原稿用紙を裁断したのか知れないが、今回の展示で見られた範囲では完結部以外はすべて右半分の原稿用紙だった。ある程度の枚数を裁断して右→左で使用していた??

以前に青森県近代文学館へ寄ったときにお伽草子の原稿の資料を購入した。それは400字詰だったのだが、それを使っているほうが珍しいそうだ。原稿用紙はどちらも久楽堂のものが使われている。今回発見された原稿を清書した形が青森県近代文学の原稿だそうだ。

今更だが、なぜ青森県近代文学の原稿は前書きと瘤取りのみだったのか…単に欠けていたのか…

 

以下、同時開催されていた川端康成の青春について少々

 

・「文芸春秋」3巻8,9号

16歳の時に書いていた日記を収録。このころからノーベル賞を見据えた記述があり、ただただ感嘆。文芸春秋は後に伊豆の踊子を発表する場となります。

 

・「別冊小説新潮」S38.6.

吉永小百合との2ショットが。めちゃくちゃかわいい…

 

伊豆の踊子』『浅草紅団』聖地巡礼行われていた。

 

・「禽獣」原稿

『末期の眼』と並んで批評を受ける際引き合いにされることもあり、「大きらひ」だそう。この翌年に『雪国』を執筆。

当時の担当者・上林暁『ばあやん』にて、原稿を取りに行った際の思い出が語られる。

 

私にとっての大発見…全体的に見たら全く違うけど、ところどころ、私の字と似てる…いや、私の字が似てた…頁の書き方とか…あと川端康成若いころイケメン。

 

 

 

f:id:prost44312503:20190422235143j:plain

帰りに図録を購入しました。パネルや解説も含めて収録してくれるのはありがたい…欲をいえばお伽草子の原稿全ページ何かしらの形で販売してくれたらなと…紙の保存とかで難しいのかな?紙が重なったまま展示されていたものもありました…ダメ元でアンケート用紙に記入してきましたが。

 

お伽草子は個人的に大好きな作品です。大好きな作品がこうやって脚光を浴びるのはうれしい。いつも思うけど、太宰がこんなに人気者ならばもう少し生きやすい社会でもいいのに。みんな、ちゃんと嘘をついてるのかなあ。大人だなあ。